
2025/07/01 00:00

このお店を始めてからというもの、たくさんの古着に出会い、そしてそれらをお手入れしてきました。既製品、アンティーク、民族衣装など取り扱いしている衣類はさまざまですが、当店ではすべての古着を一度水洗いもしく専門店のクリーニングで汚れをリセットしてから、お客さまへご紹介しています。
洗濯ではこれまでたくさんの失敗をしてきて、ダメにしてしまった服も少なくありません。ようやく出会った一着を台無しにした時は毎度心が折れる気持ちで、大雑把な性格の自分がそんな繊細な作業を必要とされる古着屋を始めたことを、少しばかり後悔します。けれど、失敗に失敗を重ねたことで、最近はシミ落としもだいぶ上手くいくようになってきたかなと思います。
ここでは、当店で取り扱いの多い素材やアイテム別にヴィンテージクローズの洗濯、乾燥、保管の方法や注意点について、一般的に知られる情報と私の古着屋としての経験をもとにお話したいと思います。自己流な部分も多いですが、日々のお手入れの参考にしていただけたら幸いです。
※近日、普通のお手入れでは落ちないシミや汚れに使っている洗浄剤と洗濯手順について追記する予定です
お洗濯の前に
当店の洗濯における基本のような心得です。自己流ですが、まずは生地に負荷をかけないことを念頭に作業に取り掛かっています。
基本は洗濯表示に従う:既製品であれば洗濯表示が明記された品質タグが縫い込まれているので、その方法に従って洗濯をします。洗濯表示がなんだか信用ならなかったり、そもそもタグや表示がない服が少なくないので、自己判断で行うことも多いです
洗剤は中性:洗濯用洗剤には中性と弱アルカリ性がありますが、当店では基本的に中性洗剤を使用しています。中性は弱アルカリ性に比べると洗浄力が弱まりますが、その分、繊維を痛めず肌にやさしい仕上がりになります。また、弱アルカリ性の洗剤は蓄積された汚れと化学反応を起こして生地を変色させることがあり、古着には使用を控えています
乾燥は風通しの良い場所で陰干し:見た目にダメージがないものでも、ヴィンテージクローズは多少なりとも繊維が劣化しているものと考えています。生地への負担を極力避けるため、乾燥機は使用せずに風通しの良い場所で陰干しをしています
ランドリーネットの使用:素材やアイテムを問わず、お気に入りの服は一着づつランドリーネットに入れて洗濯します。他の衣類からの色移り、埃や糸くずの付着、褪色などを防ぐことができ、脱水時に起こる摩擦も軽減されます
洗い方と洗剤:生地やアイテム、汚れの種類によって洗い方や洗剤を使い分けています。お手入れは水洗いが基本です。ドライクリーニングは見た目の仕上がりは美しいのですが、汚れや匂いを落とすのであれば水洗いが一番。シミや極端な匂いのあるものに関してはいろいろな洗浄剤を試しながら、生地を痛めず、色落ちさせないギリギリのラインを探りながら汚れを落としています
脱水は控えめに:オートモードに設定して洗濯した場合、必要以上に脱水されてしまい、生地を痛めたりシワの原因になる場合があります。脱水をしないことで起こるデメリットもあるのですが(生乾きの臭い、型崩れ等)、特にヴィンテージは経年による生地の劣化が多少なりともあるため、控えめを基本に、素材や生地の厚みを見極めて行われることをおすすめします
生地別のお手入れ方法
お手入れ方法を生地ごとに別ページにまとめてご紹介しています。混紡素材の場合は割合が高い素材を見ることが多いですが、たとえ数パーセントの混率でもシルク、ポリウレタン(ストレッチ素材、レーヨン(ビスコース)と同じ取り扱いで OK)、モヘアといったデリケートな繊維が含まれている場合は、デリケートな繊維を優先してお手入れされることをおすすめします。
・コットン
・リネン
・シルク
・モヘア
保管について
すべての素材に共通することですが、収納スペースは高温多湿の場所を避け、換気を頻繁に行います。特に梅雨~夏はカビや害虫によるダメージを受けやすい時期です。毛足が長く、湿気を溜めやすいベロアやコーデュロイはカビがつきやすく、ウールやシルクなどのタンパク質を含んだ繊維は虫の餌食になりやすいです。防虫剤や除湿剤を使って対策することも効果的です。